滑車の固定と、荷物の持ち上げ
滑車そのものが、ぴたっと固定されていないと
どんなに強い力でロープを引っ張っても、荷物が持ち上がらない
このとき、人間の体でいえば、滑車にあたるものは関節です。
なぜなら、それは、骨を動かすときの支点にあたるものだからです。
滑車も関節も、支点であり、固定されていなければ狙った作用を実現することができません。
関節を固定しているのは、靭帯、インナーマッスルといった
より、骨のそば近くにある組織です。
一方、表面についている大きな筋肉=アウターマッスルは、骨を動かすパワーを発揮するものです。
靭帯・インナーマッスル=支点の固定
アウターマッスル=動かすパワー
整体においてインナーマッスルが重視される理由
パワーを出す、アウターマッスルについては、トレーニングやストレッチによる効果が出やすいため、そこで何か根深い問題が起こるということは、よほどの運動不足や老化がない限りはまれです。
一方、靭帯やインナーマッスルは、強くてしなやかであることが重要。
なぜしなやかでなければならないかというと、滑車を固定するのと、関節を固定するのとでは少し状況が違うからです。
滑車の場合は、回転の中心に穴をあけてひもをとおしてしまえば、
ひも自体はがちがちに硬かったとしても、ちゃんと滑車は回転できます。
しかし、関節の固定は通常、回転の中心に穴など開いていません。
そのかわりに、関節の外から包むような構造で関節を固定します。
すると、関節が回転するためには、関節を包んでいるものたちが、適度なしなやかさで伸びたり縮んだりしなければなりません。
たとえば関節の周辺をコンクリートのような硬い素材で覆ってしまえば、
関節はまったく動かなくなり、運動性能がなくなってしまいます。
このような理由から、靭帯やインナーマッスルには適度なしなやかさが要求されるのですが、もしこれらが硬くなってしまった場合
その解決方法としてトレーニングやストレッチを採用しても
なかなかうまくいかないことが多いと推測されます。
たとえば、トレーニングで体を動かしても、動きの主役はアウターマッスルになってしまい、靭帯やインナーマッスルを万全に動かすのはただでさえむつかしいです。
ましてや、靭帯やインナーマッスルが硬くなってしまっているとあっては、トレーニングでそれを動かすのは不可能といっていいでしょう。
ちなみに、靭帯にはそもそも筋肉のような運動機能はないので、そもそもトレーニングで動かすのはむつかしいですが。
また、ストレッチしようにも、硬くなってしまっている部分を伸ばそうと頑張ってみたところで、別のしなやかな部分が、硬くなってしまっているところを補って余計に伸びていくだけで
硬くなったところを伸ばすには至らないこともよくあります。
このような理由から、治りにくい症状というのは、靭帯やインナーマッスルといった、関節の深いところにあるものたちが原因になっていることが多く、それらの適切な弾力を取り戻すことが、整体においてとても大事になるわけです。
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